東京都国体予選2009

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東京都国体予選 投稿者:セイジョー 投稿日:2009年 6月 9日(火)08時26分29秒
この前の土日、また性懲りもなくシングルハンダーの国体予選に出てきた。自分は過去6回ほど東京都から出場しているが、ここ3年ほどは城君という若手バリバリの今売出し中のプロにやられている。彼はヨットを職業とする正真正銘のプロで、去年の国体チャンピオン!である。だからなのか、どうせやってもーと皆思うのか、今年は自分以外挑戦者がなく、つまり本当のマッチレースになってしまった!しかも他の種目の予選は終了あるいは挑戦者なしで、そういったワールドクラスの選手で決定しており、(近藤愛子とか川田〈470〉とか)つまり自分が挑戦しなければ、このクラスも予選なくすんなり城君で決まったものを、よけいなこと?をしたがために、たった二人のレースに運営スタッフ約20人、運営艇4艇、おまけにオンザウオータージャッジまでつけてアメリカズカップか?というようなレースだった。結果?ウフフ、すんなりは決まらなかったんですよ。続く・・・


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東京都国体予選初日 投稿者:セイジョー 投稿日:2009年 6月10日(水)19時16分58秒
6月6日土
朝から雨、北の風6ー7メートル風だけ見れば絶好のコンディションだが、この日は大潮、レース海面は荒川と江戸川の河口で、しかも第一レースが始まる10時ぐらいが引き潮のいっぱいで、河口に向けて上らなくてはいけない本日のコースは最高に複雑!それでもともかくスタート、だがなんかボートスピードが全然違う!それでもなんとか食らい付いて5艇身差で上を回るがフリーでも離される。こんなはずはと思っても後の祭り。最終の上りでは20艇身か?とにかくギャンブルを打って反対海面へ、しばらくクローズを走っていると徐々に風が落ちてきた。するとみるみるやつの背中が近くなる。あと3艇身かというところでやつがフィニッシュ!悔しい思いはしたが、風さえ落ちればなんとかなるかーという希望が見えてきた。
続く。


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東京都国体予選初日その後 投稿者:セイジョー 投稿日:2009年 6月11日(木)00時37分37秒
ところが、こちらのそんな思いもむなしく、風速はさらに上がり、さすが国体チャンピオン!ビシッとフラットに保った船は微動だにせず、こっちはあたふたしているうちに、あっという間にさらに2レースを取られ7レースがマックスのこのシリーズは次のレースを取られたら終わり!と言うところまで追い詰められてしまった。ところが天は我を見捨てなかった。そう!風が落ちてきたのだ!スタートのマニューバリングから艇速がなかったやつの一瞬のスキをついてスタート!そこからはひたすらおさえにおさえまくり、とうとう最後は逆に20艇身を付けてフィニッシュ!かろうじて2日目につながりました。
この話にはその後があります。こんなジジイに負けたのが悔しかったのかあっさり1日で決めたかったのか、彼は陸に上がってからなんと自分に対してプロテストを宣言してきたのです!しかもそれがスタート前のマニューバリングでのどうでもいいようなインシデント(ケース)で、当然却下され、自分の勝利が確定したのです。なぜなら、このインシデントはオンザウオーターのジヤッジによって、危険な行為ではないと見られていたから・・・よって自分としては首の皮一枚翌日につながったのでした。
続く。


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東京都国体予選最終日 投稿者:セイジョー 投稿日:2009年 6月11日(木)08時43分38秒
前の晩は、色々な事が頭を回り、さらにサッカーのウズベキスタン戦などもありなかなか眠れず、ぼーっとしながら会場に到着した。本日は晴れ、しかもおあつらえむきのそよ風!気合い十分でレース海面へ向かった。相変わらず奴とは挨拶以外一言も口をきかず、超ピリピリであった。
続く。(申し訳ない駅に着きそうなので)


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東京都国体予選最終日その2 投稿者:セイジョー 投稿日:2009年 6月12日(金)18時08分49秒
昨日まで1勝3敗。自分が勝ち残れる条件は今日の3レースを全て勝つ事!もう一つも落とせないのだ!
そんな中、スタート前から激しいマニューバリング!まるでネズミの追っかけっこ?こっちは昨日みたいにしょうもないインシデントをかけられるとたまらないのて、絶えずスタボー、下を意識してケツを追っかける。そして5!4!3!2!1スタート!スタートはほぼ同時、即タックして最初から決めていた右へ一直線!やつも追っかけタック!うー!オレのほうが速い!ジリッ、ジリッと前に出る。頃合いをみてタック!やつが逃げる!更にタック!また逃げる!またタック!また逃げる!またタック!・・・一体何回繰り返せばいいんだろう。とりあえず自分がやつをおさえるポジションにはいるのだが、確実に30回はやった、マークはまだか、もういいかげん息が切れてきた!ちょっぴりハードどころじゃねー!なんて考えだした矢先、えっ!ミート!まさか!
続く。


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東京都国体予選最終日その3 投稿者:セイジョー 投稿日:2009年 6月12日(金)20時33分24秒
しまった!えー前を切れない?!そうだ、確かに自分の方がボートスピードがあるのだが、相手はプロ、自分の何十倍、何百倍タック練習してるだろう、しかも微風の中タックを繰り返す事によって逆にスピードアップをしてきやがった!つまり必要以上に船をあおってタックを推進力に替えやがった!タッキングマッチならジャッジに吹かれない!しかもやつは若い!全然ハアハアしてない?!やられた!まんまとのっかっちまった!ボートスピードのあるオレはやつのタックなんかにのらずに、信じるコースを一直線にただ走ればよかったのだ、逆に自分がグッドコースの右にタックした時、嫌がって逃げたやつをそのまま逆コースに追いやっとけば、ダントツになったかもしれないのだ!
時すでに遅シ、やつのカバーに入れられた自分は、その3艇身という屈辱の差をキープされながら上マークへのスタボーアプローチへと入って行った。でもまだなんとかなる。疲れさせられたとはいえボートスピードはまだ大丈夫!えーい絶対抜いてやる!と、と、
「ピ!ピ!ピッー!」
突然のホイッスル!えっまさか?!
「セールナンバー13604!」えっ!2艇しかいないレース艇のそれは間違いなく自分の船のセールナンバー!やられた!今度はなんとオンザウオータージャッジに吹かれた!そうか、追いかけなきゃと気合いが入りすぎてボディパンプとらられちまったのか?!そうわかっても後の祭り、死にそうになりながらグルグル720度回りながらチラッとやつを見ると、やつもチラッと振り返りニヤッと笑いやがった!!
そこから先は正に地獄だった。微風の中、さらに強烈な潮の中、7艇身に広がった差はなかなか縮まらず、刻一刻と自分の敗北の時間だけが迫って来ていた。やつはそんなオレを嘲笑うかのようにきっちり上でおさえてきていた。
そして最後の上り、またしても3艇身まで追い詰めて、もうワンレグあったら、というところで、プワーン!と無情にもやつのフィニッシュを告げるホーンが鳴った。
終わった。チクショー!またバカやっちまった!
何を反省しても後悔しても終わりは終わり。自分の今年の国体チャレンジは、あえなく終了してしまったのでした。フィニッシュボートから「あんなにタックしなけりゃ絶対勝てたのに!」の声。そんなんわかっとるわい!まったく今さらーであった。
続く。


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東京都国体予選最終日その4 投稿者:セイジョー 投稿日:2009年 6月12日(金)20時44分41秒
普通ならレースはこれで終わりです。なぜならあとのレースをいくら自分が連勝したって、もうやつの勝ちは決定したのだから。
ところがレース委員会はあと2レースきっちりやるというのだ。
よっしゃ!やってやろうじゃねーか!リタイアすることも一瞬考えたが、もしやつがやる気なら、きっちり仇とってやろうじゃねーか!
なぜか再び燃える自分であった。
続く。


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東京都国体予選最終日その5 投稿者:セイジョー 投稿日:2009年 6月15日(月)09時09分52秒
第5レースの予告信号が鳴った。こうゆう場合、すでに決着のついているいわば消化試合なわけだから、いくら自分が気合いを入れたところで、やつがのってこなければ、こっちの空回りなわけ、という事でしばらく様子をうかがってると、わー来た来た!それもスタボーで下からバッチリ突っ込んでくる!イャッホー!逃げれ逃げれー!
という訳で今回最大のマニューバリングに突入し、そしてスタート!
今回は迷う事無く即タック右へのばす!えっ!そこへヨットスクールのスナイプウイスカー軍団が次々と降ってくる!えーいままよー!行ったれ!ほとんどジグザグに走りながらもさらに右へのばす。振り向くとそのスナイプ軍団を嫌ったやつが左へ返すのが見えた!わーい!しめしめ、これで思いっきり右へのばせる。と、ほどなくしてヘッダー!来た!即タック!うーん予定通りリフトウィンドを受けながらもうアプローチラインにほぼのっている。やつはといえば左海面でもがき苦しんでいる!上マーク回航、やつとの差は710艇身、こんどはジャッジおやじに吹かれないようにやや地蔵気味にサイドを目指す。下まで行ったところでさらに差は広がったように見えた。自分はソフトカバーしながら右へ。やつは嫌って左へ返す。もうその手にはのらない!かまわず自分は右へ。するとなんとやつはしばらくして右へ返してきた。やつも“絶対コース”は右とわかっているのだ。しかしその行為は同時に自分のソフトカバーのさらにケツヘ自ら飛び込む事となり、自分は労せずして好きなコースを選択できることとなった!
最終下マーク、ここからはソフトながらおさえまくる。そしてフィニッシュ!小さくガッツポーズ!必死の形相のやつがラインに向かって来るのが見えた。
なぜこのレースを前のレースでできなかったのか。こうやれば勝てる事はわかっていたのに。やはりいつもの熱くなる悪いクセがでてしまった。今勝っても何の意味も無いのにーなんて、勝ちながら後悔していたがふと顔を上げるとすぐそこにディズニーランドのビックサンダーマウンテンのはりぼて山が見えた。去年のレースの商品のパスポートを使って3日前にイクミとキャーキャー言って爆走トロッコに乗ったやつだ!そう今日も何千へたしたら何万のオレみたいなオトーサンがあの中でガキの手をひっぱったり、パレードの場所とりをするためこの炎天下アスファルトに座り、ファストパスを取るために全力疾走して足つったりしてるのだ!それにくらべれば自分の何たる幸せなことか!負けてチョー悔しいし、勝ってさらにチョーチョー悔しいけれど、自分のおかれた立場のなんと贅沢なことか。こんなしょーもない50になろうかというオッサンの為に30人からのスタッフが集まり、レースを最後までやってくれる!再び顔を上げると例の山はなぜか霞んで見えた。
その後風が上がり、最終レースは今まで以上にタイトカバーされ、あえなく破れ去った。
自分の今年の国体挑戦は終わった。これでやつは4年連続で代表になった。自分の6年連続代表の記録にも迫ってきた。でも今年はなぜか結構満足だった。負けて知ることが山ほどあった。
運営スタッフが「お疲れかれさん!」と言って渡してくれたスタッフ用冷やし中華が妙に旨かった。自分の隣ではやつがそれをたいらげ、さらにもう一個鬼のように食っていた。時代は確実に動いていた。
終わり。